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工房だより

素材の価値

 

 

先日、旭川へ丸太を仕入れに行ってきました。
木材の仕入れは、家具屋としてはごく自然なことではありますが、今回は、自分にとっては少し今までとは違う、非常に考え深い時間となりました。

 

これまで、少なからず、家具を作るために素材を仕入れることが、ごく当たり前のことのように感じていた節がどこかにありました。
作るために材料を仕入れる、ということは、家具屋を運営するうえでの流れのひとつだからです。もちろん、丸太を見るのは初めてではありませんし、これまでも、仕入れのために旭川にいき、買い付けをしてきました。自分は、これまでと同じ意識のもと、旭川へ行き、今回見立てていただいたウォールナットの丸太と初対面しました。
そこに横たわる丸太は、過去のそれよりもとても大きく感じ、そしてとても重い空気を放っていました。
それを見た瞬間、今まで以上に、仕入れる責任、使う責任、二つの思いが一気に心に降りてきました。

 

良質であるとか、貴重であるとか、そのような謳い文句は簡単に言えます。それ以前に、木材にはもっと大切な何かがあることを気付かされた瞬間でした。小さくて大きくても、人工的に作られたものではなく、ここに至るまでに育ってきた素材であるということです。それは、時間が作り上げた大きさであり、この丸太はこれ一本でしかないのです。

 

 

 

 

僕らはその素材に手を加えることになります。
それ以前から考えると、山から切り出すこと、運搬すること、刃物を入れて製材すること、乾燥させること、そして家具として加工すること。いろいろな人が、この一本の丸太に関わることになります。

 

製材をしているときの丸太には、僕がこれまでに理解していたウォールナットとも違う、真の表情がありました。材料として使いやすく整えられたものではない、素材として「生」の表情。その生の素材である丸太が、手際よくどんどんと一枚板へと変化していく過程をみながら、改めて、重要なことをしているんだと実感していました。

 

 

もっと何かを考えなくてはなりません。
家具屋として、素材の引き出し方や、素材の魅力をもっともっと伝えていかなくてはなりません。
その価値を納得していただけるように、デザインしていかなくてはなりません。
そして精一杯作らなければなりません。

 

WOODWORKを通して人の手に渡り、満足していただける物にできた時にはじめて、素材への敬意とともに、関わった多くの人たちにもしっかりと思いを返すことができるんだと思います。

 

 

なぜ、今回このような特別な思いを募らせることになったのか、そのひとつには、独立して、株式会社F.Makerを設立後、初めての丸太の仕入れであったことがあります。そして、その特別な思いが、改めて、素材の力強さや雄大さへの気づき、多くの人が関わってようやく手に出来るものであることへの感謝、このような感情を与えてくれたのだと思います。
まだ、自分の中でもこの思いに対する最も良い表現が何であるかは模索段階ではありますが、今回このように感じた思いを一つ一つ形にしていきたいです。

 

 

旭川市街 嵐山から望む

 

 

藤本雅也

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