震災が起きて、10日が経ちました。
日に日に、被災地の大変な状況がメディアで明らかになり、
とても苦しくなります。
心からお見舞い申しあげます。
地震が起きてから2日後、WOODWORKのみんなが、
初めて揃った朝は、とてもホッとしました。
その朝、こんな会話になりました。
こういう時、何か出来ないものなのか?
家具は、人の生活を豊かにする最後の方の道具だから、
その前の段階で、作り手としてなにか力になることはないのか?
ふと出た話題でしたが、とても難しいことです。
家具は、生活を豊かにする道具であり、使う人達の心を豊かにする物。
安全で、使い心地の良い物をデザインし、そして気持ちを込めて作る。
モノ作りを通して、人の心に伝える事を、自分達は目指してきました。
普段、何もない時は、平和にモノ作りをしていましたが、
知らず知らず、当たり前のように、自己満足になっていたのかも知れません。
この災害が起き、自分達の力が何の役に立てるのかと考えた時、
その小ささに、歯がゆさを感じました。
心を豊かにするはずのモノ作りをしているのに、何もできないのか?
モノを作る力があるのに、何もできないのか?
個人の人として、寄付や、物資など、考える術はありますが、
ストレートに、自分達の力を生かすことはできないのか?
だからと言って感情に任せ、行動しても意味がなく、
それは、適切な貢献とは言えません。
意味がある行動をとり、気持ちが伝わることが本当の貢献だと思います。
そのためには、目的、タイミング、繋がり、情報、信頼、全てが
正しく結ばれることで、被災者の方々の力になれるのだと思います。
その事を、十分踏まえ、出来る事を考えてみました。
自分達に出来る事は、作る事です。
普段は家具を作り、木の小物を作り、モノを生み出しています。
だからといって、家具をたくさんの方に届けることは正直できません。
被災地に行って、壊れた家具を直すこともできません。
自分達の身の丈を踏まえ、考えた結果、
「木の車」を、避難している子供たちに送る事が出来るのではないか、と考えました。
災害が起た時は、まず生命第一優先の対応や、物資が必要になります。
災害が落ち着き、避難所が設置されると、日用品が必要になります。
そして、長い避難生活に入る。
避難生活は、疲労や、先の見えない不安で、メンタルを支える事が大切になってくる。
その中、子供たちは小さな身体で、大人と同じ状況に立たされ、
不安や恐怖に耐えています。
そんな、子供たち、親子に、温かい手触りのモノを届ける事ができるのでは?
無機質な避難生活に、木の温もりあるモノを届けられるのでは?
ひとつひとつ、エールの気持ちを込めて作る。
木の車を手にした子供たちが、大きくなってこの車を見たときに、
自分達が、日本最大の災害を、強く乗り越えた事を勇気に変えられるように。
今すぐではなく、少しだけ先に届けるためのものを、作ろうと思います。
もちろん節電しながら。
WOODWORK一同
工房だより │ WOODWORKから