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工房だより

贅沢考

 
 
   
 
 こんばんは、WOODWORK杉島です。

 GWから一気に夏の気配を感じる日差しになっていますね。今日はWOODWORKでも少しの間クーラーをかけるほどでした。ショーウィンドー前、カーテンをつるのがもう少し遅かったら大変だったかもしれません。
 
 
 GW、私は大阪へ帰っていたのですが、今回は神戸、奈良、京都に行く機会がありました。いずれも古い歴史のあるところです。

 明石は光源氏が都落ちをしてたどり着くとされたところ。当時から風光明媚で人里はなれた美しい浜辺があったのでしょう。今では海岸べりにマンションが立ち並び、淡路島を望む景観もかなり変わりましたが、60年前には美しい砂浜があったそうです。

 奈良では奈良町といわれる古民家が立ちならぶエリアへ行きました。木造の古民家は住んだことの無い私たちにも懐かしく感じられます。

 京都は南西部に位置する長岡京へ。竹林のなかの旧街道、その昔お公家さんたちが牛車に揺られながら通ったのかしらと想像するのも楽しいものでした。

 京都で立ち寄った十輪寺というお寺さんには樹齢800年の大楠が植わっていました。立派な幹は切ればすごい天板になりそうな・・・いえいえ、そんな恐れ多い事はできませんね。800年生きた木を800年活かす方法なんてそう簡単にはありません。
 その楠もこのお寺の歴史には及びません。およそ1200年前、嘉祥3年(西暦850年)からの歴史があり、平安貴族で歌人の在原業平が余生を送ったところだそうです。こじんまりとしたお寺の、さらに小さな庭を眺めながら歌でも詠んだのでしょうか。

 
 このお寺さんには国宝級の仏様もありませんし、立派なお堂があるわけでもありません。ごく小ぢんまりとして幽玄な雰囲気ただよう、どちらかといえば質素なお寺です。それでも訪れた私はとても贅沢な気分になりました。

 何を贅沢と思うかは人それぞれですが・・・
 暑い日、水辺の日陰で受ける涼しい風は贅沢な感じがします。
 この季節しか食べられない竹の子を美味しくいただくのは贅沢な感じがします。

 贅沢、というのは大きな器、流れ、時間の中にある、その時その時のことだったりモノだったり・・・そうすると、ある意味では刹那的なものなのかも?そのせつな的なものを上手に捕まえてしつらえたり、表現したり出来ることを風流というのかしら・・・
 

  
 つらつらとそんな事を考えていると、最近よくお客様にお話しすることを思い出しました。
 WOODWORK家具はお客様にお渡しするときはもちろん新品でぴっかぴかの一番綺麗な状態です、でも使い込まなければ出ない味わいというものがあって、それはお客様にしか作れませんよ、ということ。「とても贅沢な事だと思います」という気持ちを込めてお話していたんですね。

 数百年生きた樹という素材と、使う事で変わっていく表情と。造った私たちでさえ見る事のできないものです。
 
 

 ちょっと話が飛躍しすぎたかもしれません。お休みをいただいて脳みそをリフレッシュすると何気ない事も大きく膨らましたくなるのが私の癖。でもそんな中に次なるアイデアの種が隠れています。

 GWが終わっていよいよ夏に向けて気持ちも新たにしているところです。
 
 
 
 
 
 
 
 

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