病室内で使うバタフライ式の天板を備えた小さなキャビネットを製作させていただきました。
療養のためのお部屋の中でも特に、和をイメージしたお部屋に合わせて、素材や質感にこだわった内容でのご注文となりました。
お使いになる方がちょっと書き物をしたり、身の回りのこまごましたものをしまっておいたりするためのキャビネットです。ナラ材の丸みのある木目と穏やかな落ち着いた雰囲気がいきています。
こちらの家具は病室内で使用することを前提に、オイル塗装の上から除菌・抗菌作用のある光触媒塗装を施させていただきました。表面についた匂いやウィルスなどを不活性化する力があります。日々アルコールで拭いていただくことも想定しています。引き出しの中も同じように塗装を施せるよう側板と同材、底板も突板貼り合板で製作させていただきました。
バタフライ天板の難しいポイントは天板の跳ね上げのようにも思えます、実際には跳ね上げた天板をどのようにして支えるか、が一番のポイントになりました。というのは、丁番で固定した天板は、脚周りに子渡英されていないため反り止めを施しました。この反り止めや反り止めを固定しているビスの頭の出っ張りをよけて脚を開閉するために、天板と脚との間には隙間が必要です。けれども天板を支える際にはできるだけ隙間を作らずにしっかりと天板を受け止める必要があります。そこで天板裏に6mmほどの板を追加することにしました。
6mm厚の板を付けたところで脚が止まるストッパーを、そしてストッパーと開いた脚を固定するためのロックも取り付けました。煽り止めをひっかけてからネジを締めることで、キャスター付きの脚が不意に外れて天板が閉じる危険が少なくなりました。
力のかかる脚の付け根の丁番は脚と本体全体に固定する長丁番を使いました。
WOODWORKではお客さまとのご相談を担当する店舗のスタッフと、実際の製作を担当する職人が協力して1つの家具を作ります。製作の前にはベニヤなどをつかってモックを作り、バランスや安全性を確認しながら製作させていただきました。デザインとバランスと安全と使い勝手と、ご要望をまとめる側と作り手とそれぞれ譲れないところがあって、時には激しく口論になる事も(おそらく知らな方が見たらけんかしてると思われると思います)。そうしてたくさん話し合って、お客様にとってベストなものになるように、考えて工夫して細部の仕様を決めてゆきました。
お届けまでだいぶお時間をいただきましたけれども、このたびは有難うございました。使う方が日々何気なくお使いになれる、身近な家具としてご愛用頂けましたら幸いです。
◎バタフライ天板を備えた小さなキャビネット
サイズ:幅904×奥行580×高さ750mm
材質:ナラ材
塗装:オイル塗装+光触媒コーティング
仕様:バタフライ天板、引き出し1杯、観音開き扉、可動棚1枚、ストッパー付きキャスターによる可動式
デザイン:TANA
#20220418
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納品事例 │ キャビネット/チェスト,TANA