「椅子の座面を無意味に伸ばしたら、その違和感が妙に心地よく、思いもよらない用途と結びついた」
物事を意図して進める事を正しいデザインとするならば、偶然と言うことになりますが、違和感を心地よいと感じた自分の感覚が、意図しなかった発見と結びつき、デザインになりました。
ただ、それを表面的に形にしたのではなく、職人による丁寧な作り、背もたれの収まり、座り心地なども含めたデザインのレイヤーを実直に積み重ねています。
「妙に心地よい違和感」にはもう一つ意味があります。テーブルの無い生活をコンセプチュアルに想定すると、その違和感がとてもユーモラスだと感じました。テーブルには椅子はセットがマストであり、もしくは、椅子は椅子、テーブルはテーブル、それぞれ単体ででも用途があります。もし、家にテーブルが無くて、椅子に座ってわざわざ食事をする姿は、なんておかしみのあるシーンでしょう。
違和感をユーモアへと連想し、広げる事や、深掘りする事で面白い物が作れます。当たり前の角度では気がつかない、楽しさや、便利さ、味わったことのない感覚は、まだまだその中に隠れているはずです。
藤本
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product 『ISUTSUKUE』