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工房だより

年輪 (今日のおやつ)

 こんばんは、WOODWORK杉島です。
 
 今日もおいしいお土産を頂いてしまいました。なんだか毎日おいしいもの報告ばかりしているようで、心苦しいのですが、嬉しいので今日も書いてしまいます。
 
 頂いたのはいつも長蛇の列が絶えないお店「ねんりん家」のバームクーヘンです。その名の通り、自然な木の年輪のように不揃いなしましまの断面と、木の樹皮に雪がかぶったように砂糖でコートされたバームクーヘン。一口食べて、行列の絶えないのが納得の美味しさです。

 今日WOODWORKに来るつもりで、「年輪」の入ったお菓子をわざわざ並んで買ってきて下さったんです!私たちを喜ばせてくれようとするお客さまの優しい心遣いと、にくい遊び心がとてもとても嬉しいです、ありがとうございました。
 
 
 
 というわけで、せっかくなので年輪にまつわるネタを少し。
 
 樹の年輪は、木が生長する春夏と、成長がほとんど止まる秋冬の差が輪になって表れたものです。樹種によって、あるいはその樹が育つ環境によって、年輪の出方は様々です。そもそも年輪が不明瞭にしか出ない樹もありますし、全く年輪のない樹種もあります。
 
 日本を代表する樹木であるヒノキや杉は建築材料として全国で植林されているのは皆さまもよくご存じですね。今では材木としてより花粉症の原因としての方がよく話題に上るようで悲しい限りですが・・・。
 杉やヒノキは年輪が非常にはっきりしていて一年一年とその樹の年齢を数える事が出来ます。また環境をその年輪の幅などに反映するので、環境の良い年はよく育っていたり、よく陽のあたる側の年輪が広くなっていたりします。

 
 この、年輪が環境を映す性質から、大量の年輪を調べ年輪幅の変動パターンから、年輪のモノサシをつくり、たとえば古代遺跡で使われている木材の年輪パターンと対照することで、その遺跡の成立年代を特定するという「年輪年代測定法」が生まれました。
 
 年輪の中には歴史が刻まれている、というわけです。以前テレビで見たのですが、奈良、唐招提寺金堂の平成大修理に際して外された、屋根の軒下に使われている垂(たる)木で樹皮まで残っているものからその樹が伐採された年代を特定し、唐招提寺建立年が782~785年、鑑真の死後であったことがほぼ確定となったそうです。
 
唐招提寺のホームページ
 
 この「年輪年代特定法」を自然環境の変化に富んだ日本の木材で確立するには、気の遠くなるような資料の蓄積が必要だったそうです。しかしその成果が、1200年前に樹から材となった木が支えてきた美しい金堂の歴史を明らかにしたのでした。

 
 
 1200年を超える歴史にはかないませんが、WOODWORKにあるテーブルや木の家具たちにもそれぞれに樹だった長い歴史があります。お店にいらした際にはぜひ年輪を数えてみて下さいね。
 
 あ、バームクーヘンの年輪も数えてみればよかった!数える暇もなく、あっという間に食べてしまいました。
 
 
 
テーブルのページはこちら
 
 

 
 

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